ロスト・エコー / ジョー・ランズデール

超能力探偵者できっちりとしたミステリといえば日本では西澤保彦ですかね。ちょっとパズラーよりでフェアに徹している感がありますが、鬼才、ランズデールのミステリはちょっと青春小説っぽい、甘酸っぱい(といってもランズデールですから簡単に人が死んじゃいますが)。

ロスト・エコー (ハヤカワ・ミステリ文庫 ラ 12-3)

ロスト・エコー (ハヤカワ・ミステリ文庫 ラ 12-3)

ふとしたことで、片耳の、失った聴力を回復すると共に、その「場」に音として記憶された過去の負の感情を伴う出来事を再生できる能力を身に付けた主人公。その能力にとって、未知なる場所はいかなる負の感情が記録されているかわからない危険地帯。主人公は長ずると、その能力から逃避するかのように、酒びたり。
父親が自殺したことにされたことが納得いかず、警官になった幼馴染に再開して、その過去の事件を追うことになった主人公の、いわば成長物語なんだけど…主人公を成長させるには人が死にすぎですw
飲んだくれな護身術の師匠と共に酒を断ちながら、事件に立ち向かう主人公。しかし、出てくる悪役がまたいかにもって感じでいい味出してます。映画っぽい。
登場人物のセリフもこれがなかなか味わい深いです。ちょっとグロい感じのアクション描写とSF的な設定に抵抗がなければ楽しめるだろう極上のエンターテイメントミステリです。