「常に勉強が必要」って、IT業界の特徴なんだろうか?

と、この話を聞くといつも考える。IT業界じゃない業界に勤めている友人などの話を聞くと、ある程度二極化しているようにも思える。ノウハウで仕事をする人と、最先端の知識で仕事をする人。IT業界が特別ではない。

なかでも私がIT業界でいちばんいいと思うところは、IT自体がすごい勢いで発展しつづけており、「いつも新しい」ので、つねに勉強せざるをえないことだ。

IT業界がいいのは、つねに勉強せざるをえないこと - モジログ

多分、コレ自体は誤りではない。ITは未だにゴールが見えず、常に発展し続けているから、その先端で仕事をしようと思ったら、常に勉強が必要だ。むろん、これは他の、まだ発展し続けている業界においても同様であり、特に開発製造のお仕事はIT業界と変わらないんじゃないか。耐震免震構造を知らない建築士とか、画期的な新素材を使わない製造メーカーとか、あまり想像できない。
一方で、枯れた技術を使って安定度の高い製品や、時代に応じてもそれほど変わらないものを作り続ける人もいる。これは別にその人の仕事が古くて問題なわけではない。最新ギミック満載の椅子があるからといって、シンプルな木の腰掛がなくなるわけでもあるまい。
管理職だって、地位に応じて法律や会計やマネジメントの勉強をしないと世の中についていけない。立場が変われば日々勉強なのは、どの業界も大して変わりがない。IT業界は、むしろ、やる内容自体はほんのちょっとした違いに過ぎないのに、なぜか別々の勉強が必要な、非効率的な世界ともいえる。時代を追うにつれて、広範な知識がないと単なる作業員に堕ちてしまう様な、そんな業界になりつつあるようにも思える。だからと言ってメインフレーム職人やコボラーをさげずむ必要はない。
ビジネスという側面から言うと、勉強をしなければならない時間よりも、それを応用する時間が長い方がいいに決まっている。そこのバランスが取れない限り、IT業界はいつまで経っても成熟しない。
40年間現役プログラマーを目指すのであれば、日々勉強することで、途中で脱落する可能性は減るだろう。そうではない人は、ノウハウ、テクニックを身に付けるのではなく、概念を捉え、広い視点とその分析を出来るような思考方法を鍛えていくべきだろう。適切なインプットがあれば適切にアウトプットできるように。