小倉先生、それはインセンティブの向きが逆なんです

少しばかり話の糸口がつかめたので続けることにします。

勤務医が不足することによる「医療崩壊」を防ぐために,「医師をもっと厚遇せよ,医師に特権を与えよ」という医療側の一連の議論は,上記「医療崩壊」を防止するためには,「勤務医→開業医」の流れを食い止め,逆に「開業医→勤務医」という流れを作りだそうというものだったと思っていたのでしたが

予算に限りがある現実社会では,頭数の問題と給料の問題は切り離せない: la_causette

まずここからですね。小倉先生は、「現状ですでに恵まれている、さらなる厚遇を求めているのか」とお考えのようです。それは給与の面にしか言及されないということである程度想像できます。でも、僕とかは「現状すでに状況はマイナスだ。せめてプラスといわないまでも0くらいに」と考えているわけですよ。つまり、現状で単純に給与水準を下げればみたいな話はマイナスをさらにマイナスにするインセンティブを考えているわけで、マイナスを0にもってくインセンティブを考えないと医療費は削減できても医療の質も一緒に削減されてしまうだけです。
僕は給与以外にも改善しなければならない点が沢山あって、単純に開業医の給与を減らしたところで勤務医に戻るインセンティブなんて欠片もありませんよ、と言っているだけなんだけど、どうもそれを医者に特権を与えよと読んでしまうのは「中学生程度の算数ができる人」くらいの読解力があればなかなか難しい誤読だと思うのですが。
なんにせよ、ここの合意が得られないと医師の特権を求めているのか崩壊している医療をなんとかしたいと思っているかの軸が変わってきてしまうので、そこがすりあうのかどうかだけ良く考えてください。

以下は反論のための反論です。蛇足。

開業医の所得水準が大幅に下がれば,勤務医は病院勤務を辞めるともっと所得水準が下がることになるわけですから

予算に限りがある現実社会では,頭数の問題と給料の問題は切り離せない: la_causette

過激ですね。開業医は勤務医レベルではなくそれ以下にせよと。それでもその方が楽なら開業医になりたいって人はいるかもしれません。

(医療系の方々は,医師の所得水準がキー局の正社員やパイロットのそれより低いことに憤っておられるようですが,あちらの方がなるのが大変ですので,「こんな給与水準の低い勤務医など辞めてやる!明日から,キー局の正社員か又はパイロットになるんだ!」みたいなことをいってもそれは難しいように思います。)。

予算に限りがある現実社会では,頭数の問題と給料の問題は切り離せない: la_causette

そういうこと書くとブーメランが来ますよ。あえて言いませんが。

頭数を確保するためには一人あたりの配分額は抑制しなければいけないのだということを,中学生程度の算数ができる人にはわかりやすく書いたつもりなのですが,理解していただけなかったことは残念です。

予算に限りがある現実社会では,頭数の問題と給料の問題は切り離せない: la_causette

僕のエントリを読んだ上であえてこうおっしゃるということは読解力がまともでないか、あえて目を瞑っているとしか思えませんが、もう一度言っておくと、配分云々以前に今絶対頭数が足りてるのかということを検証したほうが良いんじゃない?ってことなんですが。僕は現状を何とかするためにもう少し医療費を出してよいと思っているのですが、そう思ってない人は、削減するための根拠の数字くらいは出した方が良いんじゃないですか?
もちろん、それがなくても意見としては十分ですけれども、ならば算数の問題なんていっちゃダメですよ。

給料の問題を考えずに頭数の問題を考えることが出来るのかもしれませんが,そんな余裕など現実にはどこの自治体にもありません

予算に限りがある現実社会では,頭数の問題と給料の問題は切り離せない: la_causette

もう一度ね。必要な頭数を出して、それを確保するために必要な医療費を出して、それが現状と照らしてどうか、と考えたほうがいいんじゃないかっていうお奨めをしているわけですよね。給料を考えずになんていってないでしょ。後回しにしろっていうだけで。

したがって,勤務医の望みが真に労働時間の短縮にあるのであれば,給与水準の引き下げは受け入れざるを得ないように思います。

予算に限りがある現実社会では,頭数の問題と給料の問題は切り離せない: la_causette

単に労働時間だけじゃくて、拘束時間という意味合いも含めて言えば、それでいいと思いますよ。だから、適正な人数を確保して、その給与水準が医者になる努力と費用に対してインセンティブ足るものであり、それによって医療費が足りなくなるのであれば、医療費の増額が必要だし、削減出来るなら削減すればよいわけです。
人を中学生以下の算数ができない頭しかないと愚弄する暇があったらその(わざとらしい)中学生以下の読解力を何とかして、話を逸らさずに反論願いたいものです。別に根拠出せとはいいません。そう考えている、というだけでも十分です。そしたらあなたとは前提が違うね、わかりあえないね、で終わる話ですから。あえて斜め方向のツッコミをして無駄な議論をするのには飽きてきました。