だから現状を容認して諦めればいいんだってば

医療費増額したくなければ現状の崩壊していく状況を指くわえて見てればいいんでしょ?あるいは、崩壊を食い止めるためにマスコミや患者黙らせて医療事故の刑事免責も民事免責もしろよって主張すればいいじゃない。責任は求めて待遇は上げなくて、悪の権化のように扱うなんてどんだけだよと。
弁護士の待遇を下げたら優秀な人が目指さなくなるよね、と言っていた人がなんで医者は待遇が上がるのを容認し得ないんだろうか。

開業医の所得水準が大学・大学院卒男子の全年代平均給与の3倍以上ある状態を放置しつつ

自治体の財政と医療: la_causette

まず大学の学費下げてから言う話じゃないのそんなの?
目指すためのメリット(=高い給与)がなければ優秀な学生が弁護士を目指さなくなるっておっしゃっていましたよね。でも医者は優秀な学生が目指さなくてもいいんですか?医療事故増えますよね?そして、医者のモチベーションは給与だけではない、とにかくこの非人間的な労働環境を何とかしてくれ、という訴え(給与が下がっても人増やしてよ)に対して耳を貸さず、開業医の給与が高いせいだとばかり言うことにどんだけの意味があるのかわかりませんが。
うちの近所の耳鼻科の開業医の有名な先生は朝から深夜まで働いていますし、別に楽に高給を得ているのではなく、忙しい=医療リソースとして十分機能している=大病院に行く患者を減らしている、と考えるとその先生を勤務医に戻したところで大して医療リソースが変わるとは思いません。非人間的な当直の頭数が増えて多少マシになるかもしれませんが…

この給与水準で満足する医師が相当数いれば定員一杯まで都立病院の医師の数は増えるし,そうすれば中の医師の勤務シフトは大分楽になるわけでしょう。

自治体の財政と医療: la_causette

というわけで、シフトになった分今まで見れていた患者が大病院にやってくるわけでしょ。医療費全体に占める交通費の割合が増えると年金生活の高齢者なんかを圧迫しますよね。さすが正義の弁護士先生の考えることは違います。

だからって,大阪府ではないのだから,私学助成金を廃止して,医師等の特権階級の子女以外は都立高校の入試に落ちたらあきらめて中卒で働け,生まれてくるところを間違えたのがいけないのだから自己責任だ,みたいな話はできないのです。

自治体の財政と医療: la_causette

さりげなく大阪府批判ww
医師等の特権階級というイメージを大衆に植え付けたのもここ何十年かのマスコミの罪だと思うんですが、ところで弁護士先生もそのイメージの中に入っていますよ。
いずれにしてもこの一節はさっぱり意味がわからん。

ただ,大半の医師にとっては,資格取得5年目(30歳くらい)で,全給与所得者の平均年収の2倍,全病院平均で全給与所得者の平均年収の3倍なんていう給与水準では,ばかばかしくてとてもではないがそんなところでは働けないとして拒絶されてしまっているからこそ,都立病院は医師の定員を充足することができず,残った医師が超過勤務を強いられることになるわけです。

自治体の財政と医療: la_causette

イメージで語っていませんか?このあたりの話は実際のお医者様方の見解を求めたいところですが。

そうなってくると,病院の勤務医不足を解消するには,開業医の所得水準をまず常識的な範囲まで引き下げなければならないという結論に到達するわけです(実際,これによれば,米国のPrivate PracticeのFamily doctorの所得の中央値は12万5000ドル(約1200万円)なわけで,日本の開業医の所得水準は米国のそれと比べても相当高いのが現実です。

自治体の財政と医療: la_causette

そう?

開業医の収入
 個人事業主としての利益は大部分は2千5百万円以下の収入である。経費率は7割5分程度。人件費が重くのしかかる。あとの3割で、事業を行う。 それでも法人の一般企業の社長の平均年収よりかなり低い。実感としては中小企業の親父である。
個人事業主の利益(家計費の内訳)
事業所得(利益)に税金がかかるわけですが、そこから税金、社会保険料、借入金の返済、敷金等の事業用預託金、事業主用の保険料、年金積立金などを差し引いたものが家計費となります。個人開業医は、従業員を雇用し、給与を支払い、生活を保障し、かつ借金の返済をしなければならない存在である。上記はあくまで事業経営としての収入である。実感として借金が重い。土地代が高すぎる。

医師の収入

サラリーマンに比べて企業経営者の給料は高すぎる!下げるべきだ!って話に近いと思うのですが。
どうもね、医療費の問題を給与で語っても仕事のイメージに対して高いと思う、低いと思うの水掛け論にしかならないわけですよ。どの水準だったら目指すか、給与が低くても情熱でがんばろうとする人がいないか、奉仕の心はどうした医は仁術だとか精神論にしか向かわない。
そうじゃなくて、現実的にリソースを満たすだけの費用がどのくらいかかる、というのを一人ひとりの今の人件費じゃない観点で算出する必要がありますよね。人件費は一番変え易いパラメータなんですよ。可能であれば開業医だけ保険点数減らせば収入は下がりますよ。そうなったとしても、暮らしていける水準であれば勤務医に戻らないかもしれませんし、勤務医の給与をとても高く設定しても結局激務だと残らないのは某市の産科医の例をとっても明らかです。
だから、医療崩壊の原因になりそうなリソース不足を改善するための費用というのはまず必要な頭数ありきで考えて、その頭数を実現するに足りる給与の水準とその水準における医療費の総額を試算してみればよいのですよ。で、それがあまりに高すぎる、低すぎるという話であれば政治的な決定がなされると。
開業医の給与水準を下げればリソース不足解消万歳とかちっともイメージできません。
開業医の給与が高いのが根本的な問題であるというのが明らかでない限り、まず最初にそこを論点にするのは単なる高給取りに対する嫉妬です。そしてその嫉妬のイメージは問題を理解していない人には伝わりやすい。だから、問題点として間違っていたときの影響はでかいのです。簡単に言ってよいものではない。
勤務医としての待遇が改善(給与が上がるじゃなくて非人間的激務じゃなくなることね)されたら勤務医でいれたのに、という人がいるのであれば、勤務医の水準まで開業医の給与水準が下がっても戻ってきませんよ。
お金が無尽蔵にないのは確かです。医局の力を弱める政治の失敗なんかも原因の一端でしょう。でも、医師は医療崩壊を食い止めるために個人としての権利をすべて捨て、医療に人生を捧げるべきだ、なんて考えるのであれば、そもそもすべての国民は国のために計画配置されるべきと主張されているのと変わりません。それは一つの考え方ではありますのでまずそういう根本的なところから改正を求めていくと良いと思います。