雇用形態のキープは別に情けでもなんでもないと思う

がっつり書く予定はあるものの時間が取れないので、とりあえず風化しないようにエントリ化しておきます。

日本で会社がセーフティーネットとなってきたことは事実だが、それを温存する気なら金融自由化なんかやるべきじゃなかった。金融ビッグバンをやっておきながら、労働ビッグバンをやらないから奇妙なことになる。団塊世代のうち出来の悪い正社員が救われ、多くのロスジェネが犠牲となった。運が悪かった連中は気を取り直して頑張るしかないが、実は問題はこれからだ。

情けはロスジェネの為ならず - 雑種路線でいこう

金融ビッグバン⇒規制緩和⇒利益至上主義⇒労働環境悪化
なのかな。労働ビッグバンって労働力の流動化かな。労働コスト低減に繋がりそうだけど。

日本を支えている製造業とか正確な金融とか通信とか物流、恐らく農林水産業とかも、頑張れば報われると信じてこれた団塊世代が支えてきた訳だが、彼らが引退した後に何が残っているのだろうか。下の世代に人的資本は蓄積されているだろうか、業務手順は形式知に落ちているだろうか、実は身分保証された正社員の高い忠誠心とか、年功序列を前提とした徒弟制度に依存しちゃいないだろうか。それらを支える基盤はこれからも残るんだろうか。それらに頼れない時、代替する仕掛けはあるんだろうか。

情けはロスジェネの為ならず - 雑種路線でいこう

これはぱっと見労働ビッグバンが抱える問題点にも。労働ビッグバンがどういうものか考えてからかな。

水や空気のように感じているインフラの諸々が、実は終身雇用・年功序列を通じた人的資本の蓄積に支えられていたこと、遠からずそれらに頼れなくなることを思い知らされることになるのではないか。ロスジェネが割を食っているとか不平等といった議論は世代的な問題でしかないが、いま回っている仕組みがいずれ崩壊してしまうかも知れないというのは国益に関わる大きな問題だ。

情けはロスジェネの為ならず - 雑種路線でいこう

ロスジェネ問題なのかな。どうだろう。むしろそれより若い世代の問題じゃないかなここは。ロスジェネは人があぶれた問題で、この辺の人的資本の話はロスジェネ世代の正社員から下にスキルが渡らない問題のような気もする。つまり、雇用確保の問題とは別で。
終身雇用前提の日本企業がノウハウの見える化を軽視していた問題という点はあると思う。それは金融ビッグバンが契機になったものなのかどうか。ロスジェネ問題と関係あるのかどうか、というとあんまりないと思うんだよね。個別に存在した問題というか。高度にマニュアル化されたところはそれはそれで問題を抱えているし。
僕もロスジェネ世代として思うのは、なんでもロスジェネといっても仕方ないと思っていて、ロスジェネってのは少なくともスタートの部分はすでに結果でしかない。そのあとのことはロスジェネという観点で語るべき部分は「正社員経験」くらいしかないんだよね。まあ、雇用問題としては一番語りたい部分ではあるけれども、(潜在的能力を持つという前提で語られる)ロスジェネのために労働市場を開放して起きる結果というのも想像しておきたい。
いつも引き合いに出されるのはバブル期の使えないけど運よく高給取りで減給できない石潰しだけど、その一方で、正当に評価したらもっともらえていい有能な人もいるはずなんだよな。そこで何かしようとしたら結局上の世代でバランスとられて終わりになっちゃう気もする。助かるロスジェネ世代なんて本当に有能な人たちだけなんじゃない?
どうも無能な老残と希望に満ちたロスジェネという構図は自分たちの世代の有能性を過信しているようにも思えてこそばゆい。