善意で始める危険

昔ちょっと偉そうなことを書いて炎上しかけたことがあるんだけど、まさかその時怖いなって思っていたことがサービス化されるとは思ってもみなかったなあ。
U2plus | うつ病症状の予防と回復、再発防止をサポート
結構前からやってたのねこれ。これだけでもちょっと微妙なのに、こんどはこれですよ。
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なんと、鬱っぽい人に「お前うつじゃね?」ってメールを送りつけてさらに追い込むというサービス!なんて恐ろしい子
しかもさ、これがStudygiftがらみでお騒がせのlivertyが絡んでいるという…
昔、成功体験では人は救えない - novtan別館でも書いたことだけどさ、個人の知見ってのは実際にはものの役にも立たないようなことがほとんどで、体系化・理論化して実践しないといけないものばかり。果たしてこれは何の知見に基づいて診断されるの?そもそも医師のサービスじゃないんだよね。普通の病気と違って医者による診断以外が禁止されている(厳密に言うとNGなんだろうけど極端に禁じると人生相談もできない)わけではないから、適当なこと言ってu2plusの顧客として誘導するってことが出来ちゃうよね。

というわけで、やってみた。
「うつ通知サービス"うつっぽ"からのご連絡です。」
うげ…うつ通知サービスとな…なんと恐ろしい。しかも匿名の友人から「お前うつじゃね?」というメッセージが来る…
本文は転載になるので書きません。みなさん捨てアドで確かめてご覧ください。

さらに、診断サービスを受けてみた。
ここに書いてしまっていいのか分からないけどどうせみんなやるでしょってことで。質問は五つ。いつも、たいてい、ときどき、少しだけ、全くの5段階を選択。

  • 神経過敏に感じましたか?
  • 絶望的だと感じましたか?
  • そわそわしたり、落ち着きなく感じましたか?
  • 気分が沈みこんで、何が起こっても気が晴れないように感じましたか?
  • 何をするのも骨折りだと感じましたか?

全部少しだけにしてみると…

5点〜9点
うつ、あるいは不安の注意報50%の確率です。
休日は気晴らしの外出よりも、ゆっくりお休みした方がいいかもしれません。
うつの予防をするサービスを利用したり、うつの知識を得ておくと良いかもしれませんね。

何点満点じゃこりゃ。なんどか試してみたけどどうも各選択肢が4〜0点っぽい。で、他のリンクもあるとはいえ、予防サイトとしてのu2plusに誘導してと。まったくよい手法ですね。お前はうつだと通知し、診断で追い込み、サービスに金を払わせる。もちろん、今僕は悪意のある書き方をしています。でも、当事者の理想がどうあれ、これはそういうものだ。

このサービスを提供している人がこんなことを書いている。

最後に、自殺の責任はだれもとれません。
うつの問題に関わろうとするとき、必ず自殺の可能性は起こりえます。
医師も、カウンセラーもみな「自殺させてしまった」という経験を持っているでしょう。
U2plus.jpのサービスでは幸いにしてまだ自殺の報告はありませんが、
サービス開始前から、利用者に自殺者がでることは想定しています。
しかし「自殺リスクがあるからやらない」からこそ、
民間でうつに積極的に取り組む企業がなく、サービスの選択肢が増えないのではないでしょうか。
企業としての法的な問題とは別にして、
東藤泰宏個人として、
「例え自殺者がでても、ひどい現状を変えられるのなら、誰かの助けになるのなら、罪を負ってもやる」
と覚悟しています。

http://blog.u2plus.jp/others/letters

なぜ、医者やカウンセラーが「自殺させてしまった」という経験を持っていることがこのサービスの免罪符になるのかさっぱりわかりません。うつに関わって結果として自殺が発生することにおいて免罪されるのは、あくまでそれが「止められなかった」ことだったからという一点においてだけだと思います。つまり、きっかけを与えたり、追い込んだりすることはNGですよね。「自殺者が出る」という言葉は多少なりとも「このサービスが原因で」自殺をする人が出たとしても、というニュアンスがあるように思えますが、だとしたらダメ絶対。それこそ免罪されない罪であって、負って負いきれるものではありません。交通事故で人を引き殺してもいいからこの輸血用血液を間に合わせるんだ!的な。
責任はだれも取れない、という無責任な前提を元に、罪を負う覚悟をするなどどう考えても自己陶酔的な何かですよ。

ここには絶対的な善意があるとは思うんですよね。だからこそ、それは危険なことだし、慎重にやらなければならない。studygiftだってそうだけど、善意に依拠したやり方は、もっとも素晴らしくて、でも、もっとも悪いことだと思うのですよ。

うつかもしれない人を心配して、少しでも早いうちになんとかしたい。それ自体はとても共感できるし、素晴らしい。でも、あのメールがうつっぽいときに送られてきたら、とんでもなく暗い気持ちになります。もしかしたら、反発して目をそむけてしまうかもしれない。それが人を救うことになるのかな。そして、メールを送った人は、人助けしたいい気分かもしれませんが、匿名でメールを出してしまった以上、相手に直接的なアプローチもやりづらくなってかえって事態は悪化するかもしれませんよ?

追記

増田なんで話半分としても

俺、試しで申し込んだら断られたし。

なんか、俺達には治せそうにないからお断りします、みたいな文面がメールで返って来たのを覚えてる。

http://anond.hatelabo.jp/20120524211503

誘導しといて断られるかもしれないとかないわー鬼畜だわー。
うつかもしれないという得体の知れないメールが来る→でも心当たりあるから診断してみる→注意報が出てU2plusに入ろうとしてみる→無理です治せそうにないです→世界に味方がいないことに絶望し自殺
とかなったら最悪だ