テクノロジーの進歩が社会を不幸にするとき

ついにダウンロード違法化が現実のものになりそうです。
思えば、このブログの全盛期の大きなトピックはこれでした。結局継続的に参加できずFOしてしまいましたが、MiAUの果たした役割はあったと思うし、結果、こういった事態になってしまったことは残念です。

ダウンロード違法化の件にかぎらず、ウェブの進化が従来起こりえなかったカジュアルな違法状態を作り出し、結果としてカジュアルな取締が行われるような自体を招いた、というのはちょっと評価としては斜め上かも知れませんが、事実なんじゃないかと思います。Winnyだって、完全に悪の利用方法だけを想定した存在というわけではないしね。

インターネット黎明期、違法なコンテンツといえばAnonymousFTPとニュースグループに点在していたし、Webが隆盛してきたあとは中国サイトとかね。そういう明らかな違法状態からはだいぶ脱却してきたとは思う。キレイなインターネットへ。キレイなインターネットへの最後の砦がP2Pによる違法アップロードであり、そのダウンロードであると。どうしてもアップロードを取り締まることで完結する問題としか思えないんだけどなー。利用する人がいるから犯罪が生まれるんだ!的な話なのかしらん。(だいぶ周回遅れ気味なセリフ)

ともかく、ダウンロード違法化でどのような問題が生じるのかは息を呑んで見守るしかない。最初の事例があまりに酷いものであれば、もしかしたら考えなおさせることがあるかもしれない。でも、犠牲者が出てしまった時点でアウトだとは思うんだけど。

次。個人情報についてのデータ収集はもはや無法地帯に近づいていると思う。IPアドレス固定状態の現在において、IPアドレス、トラッキングCookieのセットは個人情報そのものである。身を守るためにはIDは個別化したり登録情報は嘘情報にするくらいしかないよなあ。それでも、いくつかのサイトが結託してアクセス履歴の共有化したら、その人の趣味趣向も含めた個人というものは完全に裸になってしまうのである。それを避けるには匿名用IPとそうでないものを使い分け、トラッキングされないようにするくらいしかないかもしれないけどどうかな、という状況ではある。ビッグデータとか言っているけど、あんなの悪用しようと思ったらどれだけ悪用できるか(まともな企業はめんどくさいからやらないと思うけど)。共通ID制度も民間に広げるとかはやめて欲しい。

ウェブの大きな特徴に、実質的に時間と空間を大きく縮めている、ということがあるというのは僕の普段から主張するところではあるんだけど、そのことによって、ローカルコミュニティーは実質的に崩壊しつつあると思う。それがいいことなのか悪いことなのかは場合によって評価がわかれることだとは思う。例えば、土地にある悪習みたいなものは糾弾されるだろう。一方で、秘蹟がオープンになってしまうこともあるだろう。的な。
過去の清算を時間の経過と土地の変更で行おうとしても、インターネットで名前を調べたら消えないものとしてコントロール不能な箇所に記載されており、一生過去がついて回ったりとか。
そういうことのひとつひとつは、技術の進歩がなかったら、インターネットが生まれなかったらなかったことかもしれない。
もちろん、インターネットのお陰で生まれた数々の良いことの方がたぶん多いんだろうな、とは思う。だからこそ、そのことによって得られた利益は、それによって生まれた負の部分にどれだけ配慮できるかにかかっている。ぶっちゃけると、「早くやるのが正義」という時代はもう完全に終わって、「配慮できなきゃ悪」の世界がやってきたのでLivertyは発想の根幹が時代遅れだよ、と言いたい。じゃないと、インターネットのサービスってのはもうそこから逃れられなくなった一般人からいかに搾取するかという存在になりさがるんだよね。インターネットで何かが残るというのは、下手をすると烙印なんである。だから、利用者に「XXの烙印」が押されないようにすることがサービス提供者の(今のところ道義的な)義務となるわけ。「早くやる」ってのは既存の仕掛けの流用ができるようになったからこそできるようになったわけで、それって先人のリソースの搾取なんだから、せめてその先人に報いるだけのクオリティーのものを提示しないといけないというのが技術者としてのプライドだと思う。あ、技術者じゃない人でもいろいろ企画できるようになっちゃったのが先人の残したリソースなのかもしれんな。なんでも簡単に作れるのはある意味罪ではある。今は改善されたとはいえ、かつてのPHPが非難されたことがまさに今、単に早く作ることを目的としたサービスのレイヤーで行われていると思っている。技術要素ではなく、サービスの思想の部分でね。

なんだか書き始めと方向性が変わってきたのでこのくらいにしておこう。