生ける屍の死 / 山口 雅也

生ける屍の死 (創元推理文庫)

生ける屍の死 (創元推理文庫)

日本の本格ミステリの代表作として必ず名前が挙げられるこの本、実は何回か挫折。同一の方向性の西澤保彦には苦労したことがないのですが。
2回完読してようやく判ったような気がする。設定は、死者が甦る事件が多発するアメリカで、埋葬業者一族のドタバタ殺人喜劇といった趣。無論、本格ですから、その設定がルール違反にならないようにして犯人探しが行われます。別に甦らなくても良いのだけれど、今死んだ被害者が状況について証言したりとか通常のミステリではありえないおかしな世界が展開されます。主人公からして、早い段階で死んでしまう(これ裏表紙に書いてあるから書いてます)。自分を殺した理由を考えながら他の殺人事件を追いかける姿は面白くも悲しい。
さて、ドタバタの部分は肌に合わないと読みすすめるのが辛いかもしれません。僕はちょっと合わなかった。犯人探しはこの世界である必然性のある納得感のあるオチですので、頑張って読み進めて、まじめに考えた人は報われると思います。