首無の如き祟るもの / 三津田信三

今更ながら去年のミステリ界話題作。最近藤沢周平ばっかり読んでるのでたまには。

首無の如き祟るもの (ミステリー・リーグ)

首無の如き祟るもの (ミステリー・リーグ)

地元で勢力を誇る旧家、本家である一守家と分家である二守家、三守家の勢力争いを背景としておどろおどろしい連続殺人を作中作ノンフィクション小説風に解き明かす…と書くと訳わかりませんね。
本作は当時事件に出くわした駐在巡査の妻で作家である著者(作中の著者)が事件の登場人物を主人公とした実録小説を書くことで事件の謎を再考しようという体裁をとっています。
ホラー作家らしくホラー描写はなかなかのものですが、特筆すべきはそのトリック。これは前代未聞なんじゃなかろうか。最後のあくロバチックな急展開も説得力はかなりのものです。惜しむらくは、解決編で文章のクオリティーが下がっていることか。事件の描写なんかは結構なものなんですけれどもね。会話だけになるとからっきし迫力がなくなります。
このトリック、勿体無いので派生系で何人か書いてもよさそうですw