混合診療のシナリオは実際のところどうなのだろう

Yosyan先生のところでも、先日紹介したNATROM先生と同じ図で解説されています。
ネタは、これ⇒規制改革会議の資料

役所用語の「効率化」についての説明は省略しますが、ごく簡単に縮小は即保険適用治療の縮小につながります。縮小するのであって、新たな有効な治療の保険適用はほとんど望めなくなるといって良いかと考えます。

2007-11-17

色々見て回ると、これが反対派の方のほぼ統一された見解であると思います。その見解には先のエントリで同意したのですが、いくつか判らない点があります。

規制改革会議の方針が全面解禁である事は極めて重要な主張かと考えます。医師の意見も様々で混合診療解禁派の方も決して少なくありません。しかし医師の賛成派も全面解禁まで賛成しているのはごく少数派と考えています。医師が賛成している混合診療部分は、真に患者の治療に必要な保険未承認治療を指します。日本で認められていない有効な抗がん剤とか、新技術による手術法などです。これが使えないばっかりに、助けられるかもしれない患者を指をくわえてみるしかない事が治療の最前線では起こっているからです。
本当に有益な治療法であり、他の先進諸国でも効果が実証されているものなら、日本でも速やかに承認されればこういう問題は起こらないのですが、日本の場合はかなりユックリであることは医師の間では常識です。

2007-11-17

と言うことに対しての話と、

先進医療の開発は自由診療で利益を確保されれば行われるかと考えます。しかし自由診療下で高額の費用を要する治療を受けられる患者は極めて限定され、あまねく国民に「普及しない」事は、アメリカの例を見ると間違いありません。

2007-11-17

この話と言うのは相当にリンクしているはずで、アメリカはアメリカで、国民皆保険でないことにより抱えている問題があるのですが、日本では皆保険であることによって、医療費の増大があるわけで、そこに有益だけれども、高価な治療法をどんどん乗っけていくことそのものは、財政的にはナンセンスな話になってしまうので、できるだけ有益かつ費用が少ないもののみを採用していかなければならないという方針は、政治としては間違っていませんよね。これも一種のトリアージなわけで、出来るだけ多くの人を(財政的な観点を考慮して)助けるために一部の人を切り捨てる、と言うのは財政赤字の緊急性*1からすると、正しい。
ぶっちゃけ、混合診療を解禁しなくても、このまま財政がまずい状況のまま推移したら、保険適用が減ったり、新しく認定されることが少なくなるんじゃないか、と言う懸念すら生じるんじゃないかと、思ってしまいました。つまり、暗黙の前提として「混合診療を解禁しなければ、保険適用範囲は縮小されない」と言うものがあるのですが、それが本当に幻想じゃないと言う保証は、これまでの話の流れから言うと内容にも思えます。今は保険点数を下げたりまあ色々医師の待遇を犠牲にして何とかしようとしているのですが、それが限界だとわかったら、次はそこになるような…。
個人的には、良い混合診療を目指して欲しいものなのですけれども、これもまた理想論ですね。

*1:が、天災ではないことは言うに及ばないので、行政のミスを国民に押し付けている、という構図は見えてしまいますが、目の前の問題としてあえてこう言います