仕事が報われるって、どういうことだろうか

働き方の形態は様々。動機も様々。報われることの要不要は本人次第、と言ってしまえば身も蓋もない話ですが。
働く動機にも色々。

報われることが必要だよ派
  ├─会社から評価して欲しいよ派
  │   ├─評価は給料に反映してほしいよ派
  │   └─評価は地位に反映して欲しいよ派
  ├─お客さんから評価されたいよ派
  │   ├─「君のおかげで上手く行ったよ、ありがとう」みたいな仕事をしたいよ派
  │   └─「いつもありがとうございます」って言われたいよ派
  ├─社会から評価して欲しいよ派
  │   ├─社会の感謝が足りないから給料が安いんだよ派(◎)
  │   └─立派な仕事として認知されたいよ派
  └─仕事の達成感が欲しいよ派

そんなのどうでもいいよ派
  ├─生活するだけの給料があれば内容はいいよ派
  │   └─実は給料足りないよ派(△)
  │     ├─財産があるからいいよ俺は好きなことをやるよ派
  │     └─将来のことは知らないけど今俺はこれをやりたいんだよ派
  ├─働かないと妻子に殺されるよ派
  └─ライフスタイルにあった勤務形態が大事だよ派

働いたら負けだよと思っている派

まあまだいっぱいあるでしょう。
実際にはこれらから複数の動機を元にした自分のスタンスを持っている、というところなんだろうけれども、多分好きを貫く系の人はどこか一個しか見えてなくて、がむしゃらに突っ込んだ結果として、別のものが付いてきたり、付いてこなかったりするんじゃないかなあ。そして、付いてこなかったときに、現実として生きていけるのこれ?みたいは話になってしまっていることもありそう。
上記の、そんなのどうでもいいよ派、と言うのは実はある意味では既に報われている。仕事そのものからは報われなくて良いから、生きる糧を下さい、と言う最低限(と言っても仕事によっては満たされるのが難しい)の要求を満たしているから、どうでもいいと言えるのでしょう。財産が既に沢山あって、と言う人は除く。
難しいのは、「仕事」として成立するためにはやはり生活をできる、と言うのが最低条件な訳で最低賃金なんかも色々な労働形態でバランスを取るためにあるからそれだけ払っていれば(経営者側としては)仕事として成立させているとは本来いえないはず。
なのですが、社会的に必要で、かつ高収入が期待できないような仕事もいっぱいあって、そういう仕事はその足りない部分をやりがいで補う、と言う形になりがちです。上の図の(◎)のところあたりが結構重要ではないかと思うのですが、つまり、もっと重要な仕事と認知されればサービスに対する報酬は上がり、給料は上がるだろう、と言うことをもうちょっと考えなきゃいかんよねって思っている…のだけど、特にスケールメリットが出るようなサービスで価格競争が始まっちゃったら「いくらでも変わりがいる」っていうことにもなりかねない。
参入障壁が少なかったり、低賃金でもやりたいって人がいればいるほど競争が激しくなったときに現場の人間は駒でしかなくなりますよね。利益第一っていう発想がある限り、競争に勝つことは避けられないことで、社会の地位とサービスレベルと働く人の給料を同時に満たすためにはある程度の外部的な制限が必要なのではないかと思ってしまったりします。自由競争ってのはいいことなのですが、競争は仕事の一番大切な思想とか理念をそぎ落とし、実施の部分だけを生身にして晒すような、そういう側面もあると思います。守ればいいっていうわけでもないのだろうけど(みどりのおばさん年収800万円は妥当か問題とか)。
例えば、コンテンツ立国を目指す、となれば、コンテンツ制作の実質を担う人たちに何を与えるか、その為にはどうしたら良いか、ということを考えるのが本来は政策なのでしょうけれども、アニメーターの待遇は生活の最低水準を満たさない。一方で、福祉の財源がどうだから消費税がどうとか、医療費を抑制しなきゃならないから診療報酬を減らせ医者の待遇を下げろと言う。これは必要なことだから、と言って。じゃあ、その高速道路は必要だから、と言う。どっちがより必要で削れるの、と言うと道路、と言ってしまうのがまた政治な訳です。

会社が自分を評価してくれない、日本という社会は個人の能力を評価しないと嘆く前に、こういう、報われない仕事をする人をきっちり見て、良いサービスに対して「ありがとう」と感謝を示しているかどうかと、少し考えてしまった。

http://elmundo.cocolog-nifty.com/elmundo/2007/12/post_edd1.html

多分、感謝を示すのがお金に繋がらないのは、サービスを利用している人のせいでも働いている人たち本人のせいでもなく。働く人たちのせいだとしたら上記(△)のあたりの人がもうちょっと現実を見ないといけないような気もします。
とはいえ、報われない仕事をしている人たちが「こんな仕事だからしょうがないんだ…」って思うような待遇を周りがするよりも自分たちの存在価値をポジティブに受け止め、待遇を気にしていくような、そういうことは必要なのかも、と思います。