フィクションと児童ポルノ

僕はそういう属性はありませんから、別に規制されても困ることは何もないけれども、古来から少年少女とのあるいは少年少女同士の性愛というのは一つの文学的テーマではあります。そこにはプラトニックなものもあるし、時代背景的におかしくもなんともない普通のこととして書かれているものもあるし、それこそ陵辱的なものもあるでしょう。一つ何かで括れるようなものではないことは確かです。

アニメや漫画、ゲームなどで児童を性的に描いたものも「準児童ポルノ」として違法化するよう政府・国会に求めていく。

アニメ・漫画・ゲームも「準児童ポルノ」として違法化訴えるキャンペーン MSとヤフーが賛同 - ITmedia NEWS

文学であれば許されて、アニメ漫画ゲームは許されない、ってのはちょっとおかしいかもしれない。多分基準は単純で、絵があるかどうかなんだろうね。つまり、この主張をしている人たちは、映像というものが欲情を耐え切れないほどに喚起する、と思っているわけだ。どうだろうか。確かにそういった直接的な描写は性的な興奮を引き起こすかも知れない。なんとなく、文学が戦わずして敗北させられた気になってくる。文学の力を信じている作家は源氏物語も一部発禁にすべきと運動してみてはどうか。
この齟齬がどこから起きるかはなんとなくわかっている。僕らは一番綺麗なところを大事にしようとしていて、彼らは一番汚いところを排除しようとしているのだろう。それは表裏一体のものではあるのだけれども、確かに表現としては度を越したものも存在するのだろう。それが世界にもたらすマイナスな影響についてはさっぱりわからないけれど。そして、その両極端は文学についても同じように存在するはずなのだが。
実際の児童によるポルノは、実害が児童に及んでいる、という意味では撲滅すべき正義はある。バーチャル児童ポルノに対する正義とは、一体何か。これは発想がゲーム脳と一緒だよね多分。曰く、ゲームの影響で暴力を。AVの影響でレイプ事件を。マンガやゲームの影響で幼女監禁を…。
正直なところ、ちゃんとしたポルノとしての基準があるのであれば規制して構わないんじゃないかとは思うんだよね。専ら児童を性的に陵辱することが目的なコンテンツの存在意義があるかというとね…。でも、テーマに対する主従とか言い出したら線を引くのが難しいわけで、じゃあ一律描写禁止、となると、どこからかエスカレートしだしてマンガに未成年は登場しちゃいけませんとか(それは極端か)言い出しかねない。その辺までちゃんと考えてないんであれば、単にサブカル叩いて「正義の使者ごっこ」をしているだけに過ぎないよね。
主旨は間違ってないと思うから、ちゃんと人間の尊厳を掛けて、表現の自由との全面戦争をしなさいよと。叩きやすいところだけ叩いて社会の保護者気取りってのはなんか間違っているように思えます。