マスコミは、死んだ

いや、もう何年も前から死んでいるのだ。
インターネットがカウンターメディアと言われて久しい。その原因の一つがマスコミへの不信感によるものだ。一方で、インターネットへのマイナスイメージが根強いのは、情報について善悪の区別を恣意的には行わないというインターネットのあり方が一つの要因ではあるが、もちろん、意図的にマイナスなニュースのみ報道されがちだからだ。誰にか。マスコミにだ。
人々は既にインターネットを便利に使っている。マスコミがインターネットの暗部を報道すると「ヤダねえ」といいながらヤフーニュースを見る。別におかしなことでもない。彼らが見ているのはインターネットであり、暗部もまたインターネットなのだ。そこに矛盾は生じない。単純な二分法の世界では、悪いマスコミといいマスコミがいるのは当然であり、自分達がいい方に組しているのは当然なのだ。インターネットも同様であり、そこに善悪の問題があるとすれば、自分がいるかいないか、それだけのことだ。
にもかかわらず、マスコミによって、例えば自殺幇助がインターネットのせいにされる。マスコミが期待しているのはそれにより正気を取り戻した大衆がテレビに、新聞に帰ってくることであろう。あるいは、インターネットを規制することだろう。しかし、大衆が怒りを覚えるインターネットというのは、マスコミが見ているそれとは違うものである。無論、何かの規制が始まり、便利なものを取り上げられたとしたら、その怒りの矛先が向くのが都合よくそれを規制した政府に行くと思ったら大間違いである。
マスコミの自殺は幇助するまでもないが、心中させられたらかなわないので、記しておくことにする。