「常識では考えられない」ことを織り込むべきか

「厳密に言うとこうなりますと言って常識では考えらない事例にまで拡大して適用する」ってのは詭弁のガイドラインに載りそうな話かなって思うなあ。
確かにそのりくつはおかしいと断言するのは難しい。だからといってそれが有効な反論になるって思っている人は周りの人が「またか…」「空気嫁…」「同じ論法で返してやりたいけどバカの仲間入りはゴメンだ…」なーんて顔をしていないかどうかは観察したほうが良いと思うな。あ、ウェブじゃ相手の顔は見えないか。
とはいえ、「常識では考えられない」ってのが覆されがちなのが世の常。
ん、今なんかこんがらがったぞ。例を挙げて整理してみよう。例ね、例。事実や某所の議論とは関係ありません!

  1. ある治療結果が事件化された⇒「(医療界の)常識では(訴えるられることなど)考えられない」トンデモな訴え
  2. そもそも治療をすることが犯罪とされるのはおかしい!基本的に免責とすべき!
  3. そんなこと言ったら医者がわざと患者に危害を加えるのも犯罪にならなくなってしまう!
  4. (常識で考えたらありえないよなあ…その意見は)

1で起きている問題は、常識が限定的な世界でしか通用せず、それでもその他の世界から侵食されなかった問題にならなかった聖域的な部分に踏み込まれたという問題なのかな。2で、その聖域を世間の常識として規定しようとしたら、別の常識から否定された、と。4の常識は、どちらかというと、何を犯罪とするか、という世間の感覚を当てにしている、という話か。
基本的には免責、ということになったらそれを盾にするということがあるよね、というのは日々変わりゆく「常識」というのを当てにしてはならないということなんだろうな。そういう意味ではずーっと昔に制定された法律が現在の常識と異なっていても甘んじて受け入れろ、というのが法律家や行政の立場なんだろうかね。離婚した後何ヶ月〜みたいなのとか、国籍が〜とか。
でも、「血液型の検査をせずに輸血」というのが「基本免責だからこれも免責だ!」という盾に使われるか、というと、そのくらいは「常識では考えられないこと」にしてもいいと思うんだよね。だって「血液型の検査が必要だって知りませんでした!」というのは医者どころか日本で教育を受けてたら大抵は知っていることだし、ましてや資格商売であるところの医者が知らないというのはありえないからね。医者が資格商売ってのがポイントかな。
とはいえ、検査をしていたら失血死確実だから一か八か、という状況だったら検査しないで輸血するかも知れないし、その状況設定(というか事実だね)が常識の範囲内か、という話を突き詰めていったら常識では判断できないところにすぐ行き着いちゃいそうです。
ああ、盛大に話が逸れました。例ね、例。
常識では考えられないから大丈夫、というのは、だからちょっと危険かな。大体上記の例でいえばそもそも裁判になること自体が「常識では考えられない」ことだったわけで、自分達の常識のほうはそんなことを起こさない、という考えはちょっと強弁かも知れませんね。
なので、オチをつけるときには「常識では考えられないから大丈夫」という考えはあまり持たないほうがよさそうです。ボーダーラインを決めて、例えば「40キロ制限の道をパトカーに煽られ41キロで走ったら捕まった」的な運用にならないようにきとんと運用していけばよいのかなあと思いました。いや、特定の何かに対しての話ではないんだけど…
「ありえない仮定を持ち出された」って感じることは仕事中にも良くあるけど、説明の中で暗黙の常識を織り込みすぎると相手が不安になってそういう話を持ち出してしまうのではないか、とも思ったりします。必ずしも相手がバカなわけじゃなくて。まあそれが(立場的に)その分野に詳しいはずの人だったりするとウンザリもしますが。