サービスに込められた思いなんてどうでもいいっちゃどうでもいい

別の言い方をすると、事実が全て。銀行系で仕事をしているとITってのはなんて不自由なんだ!って思うことがありますよね。誰に同意を求めているんだ…ということで、ちょっと言い放ってみることにします。

ウェブ企業はその破壊的イノベーションで時としてとてつもないことをやってのける。それは従来の世界では到底許容され得ないことだったりする。代表的なのはGoogleストリートビューだろう。賛否両論あったがその否の部分ではとんでもない違法な立ち入りなどが行われているという事実があって、本来であれば会社ごととっ捕まらなければならないことだ。
そうはいっても、イノベーションという名のもとにそれを世間に許容させていく、というのは世の中が変わっていく事の第一歩だ。極端に言うと、革命だ。火炎瓶だ。
別にそれはウェブに限った話ではなくて、例えばゆうせんの黒歴史みたいなものも同質だろう。

ようは、イノベーションの名のもとにルール違反は沢山行われてきたし、ウェブ社会になるにいたってそれが個人を丸裸にする方向にどんどん進行していっていて、それをどこまで許容出来るか、という状況になりつつある。

僕が不思議でならないのは、クレカ番号の流出とか、キャッシュカード偽造とかがアレほど問題になっているのに、その手の危険性がどんどん高まるような情報の送出が軽く捉えられていること。仁義を守らない企業が沢山でてきたら、そのうちメールの本文ですら「解析し、マーケティングに使う」ために収集されちゃうかもよ?そしてそこには「会員番号XX AAさま、あなたのパスワードは…」なんてのがあるわけだ。いや、平文メールでパスワード送るなよという話ではあるけど。そして、ワンタイムセッション用URLもダダ漏れで、本人より早く認証できちゃうかもね。
そんな話はツールバーなんてなくても悪意のあるプロバイダーがいれば一発アウトなんだけどね。

僕達のいるこのウェブの世界はそういった極めて脆弱な基盤の上で成り立っている(もちろん、このままじゃいかんとプロトコルの改良は模索されている)。今までは、ウェブの世界を成り立たせる人たちの仁義で成り立ってきていた。でも商業プラットフォームに成り下がっったウェブではもはや仁義は風前の灯であり、それに目をつむってしまったら、無法な個人情報ぶっこ抜きサイトが跳梁跋扈する混沌の世界に堕ちていってしまうだろう。

であるならば、イノベーションを起こしたい、便利なUIを作りたい、善意で世界のみんなを繋げたい!というのは全て無法な勢力に利用されるための口実になってしまう。だから、そういう前向きな思いだけが先走ったウェブの世界というのはお先真っ暗なのである。

時代は変わったんだよ。googleの自由ですら胡散臭いものであり、共有というのは新たなマーケットの始まりでしかない。YouTubeのきな臭い話とかね。

僕は、強い思いがあって何かをつくり上げることの出来る人達を尊敬する。それは僕にはできないことだから。でも、その人達が作り上げたものが問題をはらんでいるのであれば、それを追求しなければならないと思う。作っている人がわかってようが優秀だろうが、出てきたアウトプットが問題であれば、それは指摘されるべきだし、優秀なのであればなおさら、その指摘に対してきちんと対応すべき。それがサービスの根幹を揺るがすからといって、「破壊的イノベーション」という思いだけで正当化するのであれば、悪意を持ってそのようなことを行う人が出てくることを容認したということにしかならない。自分が「わかっている」ことは重要ではなく、そのようなものが「正当化される」ことが、悪に付け入る隙を見せている。

googleだってやっているんだから、であれば、不法侵入で盗撮することを許容するのか?ということ。XXがやっているんだから、大丈夫、と考える人は、もう一度その危険性を考えなおして欲しい。

そして、サービスを提供する側は、善意で悪の大戦車軍団の通る道を舗装工事しようとしてないか、もう一度考えてみて欲しい。