タミフルのちょっとしたまとめ
ちょっと前のエントリはタイトルで煽りすぎましたね。今は反省しています。ブクマはタイトルにつくものだとちょっと思いました。
さて、肝心なところを見失わないように整理しておきます。
薬害かどうか
薬が汚染されていたり、一定の評価をされている効果に見合わない副作用がある薬をそれと知って投与するようなことを主に薬害と言うと思いますが、今回の場合、これにはあたらないと思います。ただ、万能薬と誤解され過剰に投与されている節はありますね。インフルエンザに効く薬は他にもあるわけで。
大体、飲んでも問題が起こらない人が大部分という時点で薬害と言うには無理がありますよね。薬害エイズとか乾燥脳膜とか肝炎ウイルス入り血液製剤みたいな「問題があるのが明らかで」「特定の製品がかなりの確率で致命的」という話ではないのですし。
一つ気にかかることがある。「タミフルが足りない」というのが広く報道された結果、特効薬と言う認知がされ、「あのなんていったっけ、た何とかとか言う薬を出してよ」的な患者さんがいたりするんじゃないかなあということ。どうだろうか。マスコミによるマッチポンプ(広く服用されるべきとして必要ない患者まで服用した結果本来起こる可能性の少なかった副作用が出ることを問題にしたという構図)と言えなくも無いんじゃないでしょうか。
異常行動を亢進させる副作用はあるか
これは状況的にはあるといえる可能性はそこそこあります。比較データがあまり出てこないからなんともいえませんが、少なくとも子供については怪しい。しかし、これもタミフルそのものに原因があるのかというと微妙です。「タミフルを投与しないといけないくらいの症状」だから比較的異常行動を示す率が高い母集団である可能性もありうる。
禁止にすべきか
タミフルの全世界的に認知された主目的は、人間に感染する死亡率の高い鳥インフルエンザの爆発的な感染を防ぐことにあるようですから、全く禁止にする必要も理由もなく、ただ不適切な投与を行わなければ良いと言うことじゃないでしょうか。ただし、子供へのタミフルの投与はその仕掛け上控えるべきだと言う意見には説得力があり、妥当な措置ともいえます(ただし、異常行動の件とは関係ないロジックで)。
以下、参考文献的に挙げます
- タミフルはインフルエンザを治さない B面(健康と医学:インフルエンザ) - 科学ニュースあらかると - 薬物の副作用
- タミフルはインフルエンザを治さない(健康と医学:インフルエンザ) - 科学ニュースあらかると - インフルエンザ,タミフル
- http://d.hatena.ne.jp/tackr/20070324/1174760076
- タミフルについて世界保健機関の現状の見解: 極東ブログ
- NATROMの日記 - 薬害でも被害者でもないかもしれないのに
あと、こんな話もあります(http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20070323-00000225-jij-int)。いずれにせよ、単純に禁止を訴えるなどバカなことをせず、本来の目的+α程度の使用に収めるようにしていくべきではないかと思います。
3/26 追記
- kikulog ⇒ きくちさんの冷静な分析と必読の建設的な意見満載なコメント欄。多くの人が読むべき
- タミフル問題ウォッチ - rna fragments ⇒ 上記などで示される異常行動の仮説の簡単なまとめ
- http://www.nikkeibp.co.jp/style/biz/feature/tachibana/media/070324_tamiflu/ ⇒ 医学的な問題を不完全な情報からセンセーショナルに断罪する悪い例。立花隆ってこんなにダメだったっけか?
- http://business.nikkeibp.co.jp/article/topics/20070322/121523/ ⇒ サブタイトルに悪意や誘導を感じる。現時点で販売中止にしないのは当たり前。大体処方がないと買えないんだし。
※必要に応じて追記していきます。できるだけ偏らないようにはしたいけど、禁止派のトンデモ度が高い現状ではまず冷静には対応しづらいですよね。