結局のところ、政党にとってマニフェストってなんだったのか

週末、割引な高速道路を利用した。思えば大分世話になったものだがもうすぐ割引とはお別れだ。全線タダにする、という夢物語によって政権をとった(理由はそれだけではもちろんないが)民主党が社会実験と証して一部の区間をタダにする代わり、大半の割引をなくしてしまうからだ。もちろん、全線タダになるなんて期待すべくもない。
そもそも高速道路は使った人がいくらかの料金を負担すべきではあり、タダであることが重要ではない(等しく恩恵を受けるという意味では業務用はタダ、のほうがよっぽど有効だろう)。自民党の高速道路割引策は、本質的には高速道路を安く使わせよう、ではなく、週末のレジャーを復興させようという政策だから、民主党マニフェストにうたったそれとは色合いが異なる。どっちも良策とはいえなさそうだけれども。

それにしても、マニフェストというのが公に導入されてからこのかた、まともに実現された記憶がない。夢しか書いてないんだからしかたがないけれども、夢しか書けない程度の政策立案者に政権を握らせてどうするんだ、という思いはある。経済なんて経済学を極めて(例えばノーベル賞をとって)も思いどおりに動かすことなんてできるような代物じゃないけど、算数なら現政権じゃなくても出来るだろう。
全部とは言わないけどある程度は実現できるだろう、と思っていたら、全部出来ませんでした、その中の一部を一部だけやります、だなんてね。無能の表明でしかない。

本音と建前が醜く入り乱れた、旧来の選挙戦と違うのは、無能の表明を先送りにして、国民ががっかりしたときには手遅れだということでしかないのかもしれない。信じた私がバカだった、のであれば、もっと不審がらせて欲しいものだ。仮にも「公約」であるならば、丸ごと実現できないなんてことはあってはならないのだから。実現できない公約に投票するくらいだったら「あいつが勝手に言っていた嘘を信じた俺たちがバカだった」と思うほうが幾分マシだし、次は投票しない。いまや誰がうそつきだったのかもよくわからない。