読書

火星転移 / グレッグ・ベア

ベアの「ナノテク」世界は面白いんだか面白くないんだか非常に微妙な感想を持っているのですが、こいつはちょっと違う。火星に植民し、地球の圧力に屈せず戦う人々の物語だ。解説でも指摘されている通り、ハインラインの「月は無慈悲な夜の女王 (ハヤカワ文…

星を継ぐもの / ジェイムズ・P・ホーガン

星を継ぐものposted with amazlet on 06.11.12ジェイムズ・P・ホーガン 池 央耿 東京創元社 売り上げランキング: 18477Amazon.co.jp で詳細を見るホーガンの実質デビュー作。ハードSFの傑作でしょう。月で見つかった宇宙服を着た死体。調べてみるとその死体…

泣き虫弱虫諸葛孔明 / 酒見賢一

泣き虫弱虫諸葛孔明posted with amazlet on 06.11.12酒見 賢一 文藝春秋 売り上げランキング: 73031Amazon.co.jp で詳細を見る酒見賢一ってシリアスな作家のイメージがありましたが、これは全編パロディー調の一編。とはいえ、諸葛孔明です。一筋縄ではいき…

いつか、ふたりは二匹 / 西澤 保彦

いつか、ふたりは二匹posted with amazlet on 06.11.08西澤 保彦 講談社 売り上げランキング: 174502Amazon.co.jp で詳細を見るちょっぴり大人の世界に足を踏み入れた少年少女のための新本格シリーズ、ミステリーランドのうちの一冊。ジュブナイルとはいえ、…

三国志12〜13 / 北方謙三

三国志〈12の巻〉霹靂の星 三国志〈13の巻〉極北の星 もはや今まで活躍してきたほとんどの男達は死んでしまっていてテンションダウンしている三国志の終盤です。司馬家がじわじわと曹家をのっとっていく様子のねっとりぶりとかはいいですね…。粛々とした北方…

三国志10 / 北方謙三

三国志〈10の巻〉帝座の星 中心人物がだいぶ少なくなってきて、物語が加速していきます。生き様から死に様にシフトしてきたと言うか。前巻の最後でついに関羽が死を迎えます。そうすると普通、劉備と張飛とが周囲の制止を聞かず弔い合戦に突入していくわけで…

三国志11 / 北方謙三

三国志〈11の巻〉鬼宿の星 陸遜が辛そうです。そらそうだ、かたや死んでも敵をとる覚悟の劉備。かたやなんかやる気の足りない孫権。2人の英雄の狭間で自分の作戦を貫き通す。歴史小説読んでると軍師な人たちは結構自信満々で指示だししちゃったりしています…

三国志9 / 北方謙三

三国志〈9の巻〉軍市の星 蜀を取り、戦略が見えてきた劉備。ますます劉備へのコンプレックスを深める曹操。陰険な性格が出てきた孫権。諸葛亮の戦略により、魏へ攻め込む蜀軍。その結末は、といったところです。史実では蜀に属してから輝きを失った馬超のそ…

三国志7、8 / 北方謙三

三国志〈7の巻〉 三国志〈8の巻〉 さて、赤壁。圧倒的な兵力を抱える曹操。敗れたとはいえ勢力を保ち、呉を利用しようとする劉備。曹操を破り、益州を得て天下二分を目指す孫権と周瑜。ついに長江で激突します。妙にさわやかさんな周瑜と風を呼ぶために祈っ…

三国志1〜6 / 北方謙三

三国志 (1の巻)posted with amazlet on 06.10.02北方 謙三 角川春樹事務所 売り上げランキング: 39,160Amazon.co.jp で詳細を見る 三国志〈2の巻〉 三国志〈3の巻〉 三国志〈4の巻〉 三国志 (5の巻) 三国志 (6の巻) 最初に北方三国志が書かれると聞いたとき…

葉桜の季節に君を想うということ / 歌野 晶午

実は、ネタバレしていたのです。同じ時期に刊行された某氏と根本のネタが被っていると言うことで。それでも読了後は面白かった。伏線の張り具合がよくできていて、文章のタッチそのものも伏線(というよりミスディクションか)になっている。 ただ、メインのト…

波王の秋 / 北方 謙三

北方氏が歴史小説に参入したのは中世(南北朝)ものなのですが、その締めくくりというべき一編。氏の漢の生き様への主張が余すところなく語られています。ただ、今までの中世ものよりフィクション度合いが強い。時代を借りて自身のハードボイルド論を展開した…

エデンの命題 / 島田 荘司

ここ最近脳と認識に凝っている(いや、わりと最初のほうからかも知れんけど)島田先生。本格推理小説の中でも島田荘司の書くものってよく考えたら誤認識をトリックの根幹にすえたものが多いですね。情報を時には省略し、時には補完して処理している人間の脳は…

楊家将 / 北方謙三

男クサイ。北方節なので筋の通った男たちがこれでもかとばかり出てきます。実際こんなにカッコいいわけねぇ。と思いながらこの素晴らしいまでのキャラ立ちに引き込まれてしまうのが作者の筆力と言うものです。 楊家将ってのは日本ではなじみがないが中国では…

ホミニッド・ヒューマン・ハイブリッド / ロバート・J・ソウヤー

ネアンデルタール三部作。ざっとあらすじを言うと、不慮の事故により、ネアンデルタール人が人間として存続した並行宇宙から我々の宇宙にやってきたネアンデルタール人科学者ポンターが人間の女性と恋をしてすったもんだの大騒動。全部読んだらそんな感じで…

殺しの双曲線 / 西村京太郎

西村京太郎といえば十津川警部、十津川警部といえば時刻表トリックというほど定番化した人ではありますが、つまりそれはマンネリの局地なわけです。しかも時刻表が改定されたら通用しなくなるというまさに一期一会(違 そんな西村京太郎も初期はトリック重視…

フラッシュフォワード / ロバート・J・ソウヤー

大風呂敷系ハードSFネタミステリ仕立てなソウヤーのこれはなかなかの名作。未知の粒子を発見するための実験をしたところ、何がいけなかったのか、なぜか全世界の人間の意識が2分間だけ21年後に飛んでしまうというまたまたとんでもないお話。元の世界では…

深紅 / 野沢 尚

ミステリとカテゴライズしておいて実はそうではないのですが、ミステリタッチということで。一家惨殺事件を修学旅行のために生き延びた娘が加害者に同年代の娘のいることを知り、素性を隠して会いにいく話。ぶっちゃけすぎですかね。

管仲 / 宮城谷昌光

ちょっと中国の歴史に興味を持った人は大抵知っている春秋時代の名臣管仲。三国志でも名前出るもんね。さてじゃあいつごろ何をした人というと「管鮑の交わり」の人でしょってなもんですね。

フレームシフト / ロバート・J. ソウヤー

他人が頭の中で考えていることが聞こえてしまってまともに交際のできない女性。しかし、偶然出会った相手は思考がフランス語。意味が分からない心地よいBGMとしか聞こえないその思考のおかげで伴侶を得たテレパシストの女性が活躍する冒険譚。

香乱記 / 宮城谷昌光

項羽と劉邦の時代、歴史は主にこの二人の争いを焦点に展開していきますが、広い中国ですから各地では色々な勢力が起っていたようです。そんな時代の斉(せい)の国の田氏の三兄弟のお話。

竜馬がゆく / 司馬遼太郎

司馬遼太郎の書く坂本竜馬は非常にだらしが無い。幕末に生まれた一つの奇跡である人物を非常に人間くさく書いています。幕末と言う激動の時代、そんななか、自分のやりたいことがいまいち判然とせず、かといって人が激している時代の流れもいまいち納得がい…

市塵 / 藤沢周平

あまり歴史・時代小説は紹介してなかったけど、実は結構読んでいます。でも面白いのが少ないんだよなぁ。藤沢周平は数少ない紹介に値する作家のうちの一人。もっと長生きして欲しかった。6〜7代徳川将軍に仕えた儒学者(でも実践政治家)新井白石の伝記的小…

遍歴

およそ僕らの年代と言うものは本を読まない。折りしもテレビ・ゲームの隆盛期・全盛期。自然とそちらにひきつけられてしまうのは無理も無い。